大神様の呪いのふみきり
凛子に近づいていく四葉に驚き、沙友理が声をかけてくる。
それでも四葉は足を止めなかった。

「ちょっと」
強い口調で凛子に声をかける。

だけど凛子は反応をみせずにヒナたちの後を追いかけ続けた。
「待ちなさいよ!」

四葉が凛子の肩をつかもうとしたそのとき、伸ばした手がするりとすり抜けてしまった。
何度凛子に触れて見ようとしても、その体に触れることはできない。

「無理だよ四葉。これはもう起こってしまった過去の出来事なんだから」
瑠美に言われてもすぐには受け入れなられなくて、何度も何度も手をのばす。

その度に四葉の手は凛子の体をすり抜けていった。
試しに前に立ちはだかってみると、凛子はいともたやすく四葉の体をすり抜けて歩いていく。

なにをしてもダメなんだ。
瑠美が言った通り、これはすでに起きてしまった過去の映像。

この先の未来を変えることはできない。
四葉はグッと奥歯を噛み締めて凛子を睨みつけた。
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