大神様の呪いのふみきり
☆☆☆

それからヒナと洋平はデートを楽しんで、太陽は傾き始めていた。
「家まで送っていくよ」

「すぐ近くだから大丈夫」
商店街を抜けて中学校が見える場所でふたりは立ち止まった。

まだ離れたくないのか、口数が少なくなっている。
ヒナは指輪をはめた薬指を何度も何度もなでている。

相当嬉しかったんだろう。
「また明日、学校で」

洋平に言われてヒナは頷いた。
「うん。またあしたね」

同じ学校、同じクラスだからまた数時間後に合うことができる。
それでもふたりは名残惜しそうに何度も振り返り、手を振った。

やがて完全に相手の姿が見えなくなるとヒナはひとりになった。
……いや、違う。
< 134 / 153 >

この作品をシェア

pagetop