大神様の呪いのふみきり
だけどそんなことも珍しくないのか、ヒナが気にしている様子はない。
フミキリ周辺はまだ雑草に埋もれることなく、柵に覆われた広場のようになっていた。

カンカンカンと聞き慣れた音が周囲に響き渡る。
四葉は唾を飲み込んでヒナの後ろ姿を見つめていた。

やがて電車の音が近づいてきたとき、四葉の横を凛子が通り過ぎていった。
さっきまで電柱の陰にかくれていた凛子がヒナの後ろへ近づいていく。

咄嗟に近づいていきそうになった四葉を、沙友理が止めた。
経緯を見守ることしかできないことに、四葉は歯がゆさを感じる。

ヒナの真後ろに凛子が立ったとき、気配に気がついたヒナが振り向きかけた。
だけどそれより先に凛子が両手を突き出してヒナの体を突き飛ばしていたのだ。

ヒナは体のバランスを崩して踏切内へ転がり込んだ。
立ち上がる暇もなく、電車がヒナの体の上を通り過ぎていく。

加速していた電車はすぐに止まることができず、まともにぶつかった。
ヒナを突き飛ばした凛子はしばらく呆然とした様子でその場に立ち尽くしていたけれど、思い出したように広場へと走った。
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