大神様の呪いのふみきり
「そうだったのか」
洋平はなんの疑いもなく、凛子の言葉を信用してしまった。

自分の大切な人を殺した犯人だなんて、思いもせずに。
それから月日は流れたけれど、凛子はずっと洋平の隣にいた。

ヒナを失った悲しみの中を支えてくれた凛子は、洋平にとっても特別な女性となっていた。
「凛子。僕たち結婚しよう」

事故から10年目の春。
洋平は本物の石が輝く指輪を、凛子の左手薬指にはめた。

それは凛子がずっとずっと欲しくてたまらなかったものだった。
洋平からもらうことができれば必ず幸せになれる。

そう信じて疑わなかった。
凛子は涙を流しながら「はい」と、頷いた。

ようやく手に入れた自分だけの幸せ。
中学生時代に感じた屈辱は、いつの間にかすっかり消えていたのだった。
< 139 / 153 >

この作品をシェア

pagetop