大神様の呪いのふみきり
そんなんじゃない。
違和感の正体に気がついた瞬間全身からすーっと血の気が引いていくのを感じた。

右手で口を覆い、左手を自分の目の前へと持ってくる。
その左手の薬指が、根本からなくなっていたのだ。

悲鳴を上げそうになり慌てて、右手の力を込める。
四葉は鼻で大きく呼吸を繰り返し、ベッドに座り込んだ。

大神様のお願いを叶えられなかったら、翌日大切なものを奪われる。
それは四葉にとって自転車だと思っていた。

でも違う。
そうじゃなかった。

大切なものっていうのは、大神様にとって大切なものだったんだ!
四葉は昨日大神様に出会ったときのことを思い出していた。

大神様のかけた指は、たしか左手の薬指だった……。
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