大神様の呪いのふみきり
☆☆☆

そこで映像が途絶えてあたりは暗くなった。
暗転したのではなく、夜になったのだ。

沙友理は相変わらず開かずのフミキリの前にいて、カンカンと不快な音が聞こえてきている。
大神様はもう口を閉じていて咆哮は止まっていた。

「そう……指じゃなくて、指輪が大切だったんだね」
沙友理が呟いたその瞬間、大神様の頬に涙が光った。

探しているものは指じゃなくて指輪。
それがわかっただけでも大収穫だ。

指輪なら光加減でどこに落ちているかわかるかもしれない。
だけどもう周囲は暗くなっている。

タイムリミットはすぐ目の前だ。
沙友理はまた地面に這いつくばって草むらを進んだ。

遮断器の赤い色が周囲を照らす度に目を凝らして指輪を探す。
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