大神様の呪いのふみきり
「それなら中に入るかい?」
用務員さんに促されて部屋の中に入ると、そこは6畳ほどの畳になっていた。

背の低いテーブルとテレビ、本棚が置かれていて、本棚にはミステリー小説がぎゅうぎゅに詰め込まれている。
テーブルの上には食べかけの給食と、読みかけの文庫本が伏せた状態で置かれていた。

「まだご飯中なのに、ごめんなさい」
四葉が言うと、用務員さんは優しそうに微笑んで「どうぞ座って。僕は食べながら聞いてもいいかな?」と、断ってから、箸を手に取った。

「最近の中学校は給食があるから僕もありがたい。昔はお弁当だったから、僕も毎日何かを持ってきたものだよ」
用務員さんは暖かなご飯を食べられるのが嬉しいようで、食が進んでいる。

けれどそんな和やかな話をするためにここに来たわけじゃない。
本来の目的を忘れちゃダメだ。

「聞きたい話しについてなんですけど」
用務員さんの食事がデザートのプリンを残すのみとなったタイミングで、沙友理が口を開いた。
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