大神様の呪いのふみきり
どれだけ優しくてもそれが裏目に出てしまうこともあったのかもしれない。
「大神田さんは成績もよくてね、先生たちからも信頼されていた。だからあんな事故があったことはみんなが信じられなかったんだ。きっと、大神田さんはフミキリに入ってしまったのは、なにか原因があったんだと考えた」

「その、原因はわかったんですか?」
瑠美が質問するが、用務員さんは左右に首を振った。

「わからないままだった。あそこのフミキリは今でも周りになにもなくて、カンシカメラなんかも設置されていないだろう? だから、どうして事故が起きたのかわからずじまいなんだ」

でもきっと、と用務員さんは話を続けた。
「優しい大神田さんのことだから、犬や猫がフミキリに入り込んでそれを助けようとしたんじゃないか。そんな話で落ち着いたんだよ」

「そうなんですか……」
瑠美が小さく息を吐いて姿勢を戻した。

長く学校に務めていた用務員さんから聞けた話はそれだけだった。
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