大神様の呪いのふみきり
そうだ。
そうしてみよう。

瑠美は最後の力を振り絞って立ち上がる。
フミキリ前に立っている大神様に近づいていこうとした、そのときだった。

ローファーの下で何かを踏みつけた感触があって立ち止まった。
草むらの中には投げ捨てられたゴミが沢山あるから、きっとそれだろうと思った。

けれど気になって確認してみると、そこには土にまみれた細長いなにかがあったのだ。
「え……?」

瑠美は一瞬頭の中が真っ白になったが、すぐにその場にしゃがみこんでいた。
こんなところにあるはずがない。

見つかるはずがないと諦めたものが、そこにあったのだ。
細くて長い、指。

10年も昔のもののはずなのに骨にはなっていなくて、綺麗な状態が保たれている。
瑠美は唖然としながらそれを指先でつまみ上げた。

指についた土を落とすと、爪までつややかなことがわかる。
「あった……」

思わず声を漏らす。
< 73 / 153 >

この作品をシェア

pagetop