大神様の呪いのふみきり
だけどなかった。
指はあったけれど、指輪はなかった!!

もう少し周辺を探してみるべきだったんだろうか。
瑠美が思い悩んでいる間にも咆哮は続く。

瑠美は右手で耳を抑えつつどうにか立ち上がった。
「わ、わかった。指輪だよね? 指輪を探してたんだよね? それなら、もう1度探すから」

瑠美がそう言っている間に大神様が持っていた指がプスプスと音を立てて腐敗していく。
それはあっという間に今の大神様と同じような真っ黒い塊になってしまった。

瑠美は呆然としてそれを見つめることにしかできなかった。
夜はもうとっぷりと更けている。

もう、時間切れだった。
「お願い。私、みんなの指を元に戻してもらわなきゃいけないの!」

必死に大神様にしがみついて懇願する。
もう少しチャンスをちょうだい。

その思いは大神様に届くことはなかった。
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