大神様の呪いのふみきり
見かける
瑠美が目を覚ましたとき自分の部屋の布団の中だった。
布団に入ったままそっと自分の左手に触れる。

親指の存在を感じる。
薬指も、小指も大丈夫。

そうして一本一本確認していっていた瑠美は最後に大きく息を吐き出して涙をうるませた。
薬指だけが、ない。

失敗したんだ。
私も大神様の願いを叶えてあげることができなかった。

だから左手の薬指を持っていかれた……!
ふたりが言っていたとおり指がなくなっても痛みはなかった。

恐る恐る確認してみても、血は出ていない。
瑠美は次々とこみ上げてくる涙をどうにか押し込めてクローゼットから手袋を取り出した。

真冬用の手袋しかないけれど、仕方ない。
手袋の薬指の部分にティッシュをつめてふくらませると、瑠美はそれを手にハメたのだった。
< 78 / 153 >

この作品をシェア

pagetop