大神様の呪いのふみきり
知らない家のチャイムを鳴らすのに抵抗があるのだろう、瑠美は一番後ろから情けない声を出す。
四葉たちだってこんなことになれているわけじゃないけれど、今は時間がないのだ。

大神様はきっと今も咆哮を続けている。
そのまま何時間もほっとくわけにはいかなかった。

「行くよ」
沙友理が一歩前に踏み出して玄関チャイムを鳴らした。

小さな家の中から、チャイムの音が外に聞こえ漏れてくる。
しばらく待っていると足音が聞こえてきて玄関のドアが開いた。

「はい、こんにちは?」
出てきてくれたのは50代くらいの背の低い女性だった。

色白で、白いエプロンがよく似合っている。
この人はきっと、生徒手帳を落とした人の母親だろう。

四葉は背筋を伸ばして「急にすみません。私達大禍中学校の2年生です」と、自己紹介をした。
すると女性は頬をほころばせて「えぇ、制服でわかるわよ」と、頷いてくれた。
< 95 / 153 >

この作品をシェア

pagetop