トップシークレット☆ ~お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる~【減筆版】
大切な人の守り方
――わたしと貢の二人が結婚に向けてゆっくりと動き始めた夏は、短くもゆったりと過ぎていった。
その間にわたしは韓国での修学旅行を目いっぱい楽しんできたし、夏休みの間には貢と二人で夏季休暇を利用して、出張という名目で一泊二日の神戸旅行もした。母から「十月に新規開業する篠沢商事の神戸支社を視察してきてほしい」という命を受け、「ついでに二人で観光でもしてらっしゃい」ということでそうなったのだ。
もちろん、名目はあくまで〝出張〟だったので、ホテルの部屋はふたり別々のシングルルームだったけれど。視察が早く終わったので神戸の市街地で夕食に美味しいものを食べたり、二日目には観光名所をあちこち回ったりもできて、仕事としてもプライベートの旅行としても充実した二日間になった。
もしかしたら、彼との関係も一歩前進するかなぁなんて勝手に期待していたけれど、それは残念ながらこの旅では叶わなかった。でも、たとえ体の繋がりがなくても、わたしと貢の心はちゃんと繋がっているから大丈夫だと思えた。わたしは彼を愛していて、彼もわたしのことをちゃんと大切に思ってくれているならそれで十分だった。
そして季節は秋になり、わたしが貢と出会ってから一年が経とうとしていた頃、わたしは里歩や唯ちゃん、貢の勧めもあってやっとSNSを始めた。
「経営者には発信力も重要だよ♪ 時代の波に乗っかんなきゃ」
というのが親友二人の共通認識であり、貢もそれに賛同した。
わたしは始めたばかりのSNSを活用して、自分自身や篠沢グループのことを大々的に発信していった。インスタではわたしの私生活の様子や、貢のために作ってあげたお料理やスイーツの写真を投稿して、「セレブ=世間とはかけ離れた世界」というイメージを払拭しようとした。その一方で、Xでは秘書である貢や社員のみなさんにも協力してもらい、篠沢グループの企業概要や会社の様子、どういう事業に取り組んでいるかを周囲に理解してもらえるような投稿をしていった。
どちらもフォロワー数はみるみるうちに増えていって、SNSを始めてよかったという確かな手ごたえを感じていたのだけど……。
そんな頃だった。わたしと貢の絆に危機が訪れたのは。
「――絢乃! 大変たいへん! これ見て!」
ある日の終礼後、わたしが教室で帰り支度をしていると、スマホを開いていた里歩が血相を変えてわたしの席まで飛んできた。
その間にわたしは韓国での修学旅行を目いっぱい楽しんできたし、夏休みの間には貢と二人で夏季休暇を利用して、出張という名目で一泊二日の神戸旅行もした。母から「十月に新規開業する篠沢商事の神戸支社を視察してきてほしい」という命を受け、「ついでに二人で観光でもしてらっしゃい」ということでそうなったのだ。
もちろん、名目はあくまで〝出張〟だったので、ホテルの部屋はふたり別々のシングルルームだったけれど。視察が早く終わったので神戸の市街地で夕食に美味しいものを食べたり、二日目には観光名所をあちこち回ったりもできて、仕事としてもプライベートの旅行としても充実した二日間になった。
もしかしたら、彼との関係も一歩前進するかなぁなんて勝手に期待していたけれど、それは残念ながらこの旅では叶わなかった。でも、たとえ体の繋がりがなくても、わたしと貢の心はちゃんと繋がっているから大丈夫だと思えた。わたしは彼を愛していて、彼もわたしのことをちゃんと大切に思ってくれているならそれで十分だった。
そして季節は秋になり、わたしが貢と出会ってから一年が経とうとしていた頃、わたしは里歩や唯ちゃん、貢の勧めもあってやっとSNSを始めた。
「経営者には発信力も重要だよ♪ 時代の波に乗っかんなきゃ」
というのが親友二人の共通認識であり、貢もそれに賛同した。
わたしは始めたばかりのSNSを活用して、自分自身や篠沢グループのことを大々的に発信していった。インスタではわたしの私生活の様子や、貢のために作ってあげたお料理やスイーツの写真を投稿して、「セレブ=世間とはかけ離れた世界」というイメージを払拭しようとした。その一方で、Xでは秘書である貢や社員のみなさんにも協力してもらい、篠沢グループの企業概要や会社の様子、どういう事業に取り組んでいるかを周囲に理解してもらえるような投稿をしていった。
どちらもフォロワー数はみるみるうちに増えていって、SNSを始めてよかったという確かな手ごたえを感じていたのだけど……。
そんな頃だった。わたしと貢の絆に危機が訪れたのは。
「――絢乃! 大変たいへん! これ見て!」
ある日の終礼後、わたしが教室で帰り支度をしていると、スマホを開いていた里歩が血相を変えてわたしの席まで飛んできた。