甘美な果実
笑えない。笑えない。頬を片手で軽めに持ち上げながら、殺した娘を避けて、今度は父親に目を向けた。人間の防衛本能が今になって働いたのか、父親が息子二人を守るように俺から距離をとった。ここの父親は頼りになりそうだ。女を見殺しにはしてしまったが、息子二人だけでも助けようとしている。でも、俺には関係ない。全員を処分しなければ、心臓も首も貰うことができないのだから。
瞬くんが待っている。瞬くんを待たせている。殺すことに時間をかけていては話にならない。二人の息子を守ろうとする父親も、気の強そうな見た目をしていながら緊張している長男も、情けなく泣きそうになっている次男も、全て殺す。
ケーキを早く。食べたい。食べたい。瞬くんと一緒に。食べたい。食べたい。溢れ出す食欲を受け入れ、当然のように支配し、瞬くんとの食事を思い浮かべ、高揚感に舌舐めずりをして。使い慣れている折り畳み式のナイフを、左手に持ったそれを、瞬くんと同じ利き手で持ったそれを、握り直した。
殺すことは慣れている。暴力を振るうことも慣れている。久しぶりに滾っている。興奮している。瞬くんとの食事が、二回目の食事が、楽しみすぎて仕方がない。
膨れ上がる激情のままに、まず父親を仕留め、遂に叫んで逃げ出そうとする二人を捕らえて顔面を殴り、腹部を蹴り、確実に頸動脈を切った。死体が一気に増えた。息を吐いた。殺すのは簡単だった。
最後に殺した次男の首に目をつける。喉が渇いていた。血を飲みたくなった。そうしようとしたところで、咄嗟に首を振る。その部分は瞬くんの食糧だ。血は首からでなくとも飲める。水分補給は後回しでいい。まずは瞬くんの好物の首を入手することを優先しなければ。
瞬くんが待っている。瞬くんを待たせている。殺すことに時間をかけていては話にならない。二人の息子を守ろうとする父親も、気の強そうな見た目をしていながら緊張している長男も、情けなく泣きそうになっている次男も、全て殺す。
ケーキを早く。食べたい。食べたい。瞬くんと一緒に。食べたい。食べたい。溢れ出す食欲を受け入れ、当然のように支配し、瞬くんとの食事を思い浮かべ、高揚感に舌舐めずりをして。使い慣れている折り畳み式のナイフを、左手に持ったそれを、瞬くんと同じ利き手で持ったそれを、握り直した。
殺すことは慣れている。暴力を振るうことも慣れている。久しぶりに滾っている。興奮している。瞬くんとの食事が、二回目の食事が、楽しみすぎて仕方がない。
膨れ上がる激情のままに、まず父親を仕留め、遂に叫んで逃げ出そうとする二人を捕らえて顔面を殴り、腹部を蹴り、確実に頸動脈を切った。死体が一気に増えた。息を吐いた。殺すのは簡単だった。
最後に殺した次男の首に目をつける。喉が渇いていた。血を飲みたくなった。そうしようとしたところで、咄嗟に首を振る。その部分は瞬くんの食糧だ。血は首からでなくとも飲める。水分補給は後回しでいい。まずは瞬くんの好物の首を入手することを優先しなければ。