甘美な果実
逸る気持ちを抑えながら、この家のキッチンへと向かった俺は、首を断つための肉切り包丁を探索し、発見し、拝借した。死体の側まで戻り、次男を仰向けにさせてから、首の付け根に刃を当てる。あとは切断できるまで根気強く手を動かすだけだ。
左手に持った肉切り包丁を、引いて、押して、引いて、押して。どんどん首を切っていく。胴体から切り離していく。刃が骨に接触しても関係なかった。鋸で木を切るように、半ば強引に、力任せに、切断し続ける。瞬くんのためだ。そう、これは、瞬くんのため。俺が食べるためではない。瞬くんに食べさせるためだ。瞬くんの好物は首なのだ。
骨という名の難所を乗り越え、時折、刃に付着している血を次男の服で拭き取って。自分の手に付着した血を舐めて。作業の合間にケーキを味わいながら、残りの繋がりをなくしていく。
今すぐにでも食べられるほど目の前にケーキがいるのに、本能に支配されない俺は、理性的だ。すぐに我を失ってケーキに襲いかかり、無理やり性行為に持ち込むような、食欲のみならず性欲まで丸出しの底辺とは違う。そんな人たちと同類にされたくはない。食欲と性欲を混合するような愚者とは。
あと少しで首の切断が完了する。瞬くんの顔が頭に浮かぶ。正気のない目。感情のない目。死んだような目。死んでしまいそうな目。実際、瞬くんは、俺の目を盗んで死のうとした。ありえない。許さない。そんなことはさせない。絶対に自殺なんてさせない。俺が殺すこともしない。仲良くなりたい人とようやく繋がれたのだから。死なれては困る。勝手に死なれては困るから、手っ取り早く拘束した。身動きが取れないように。それでも、瞬くんは舌を噛んでまで死のうとするから、今は猿轡を噛ませてそれを防いでいた。
左手に持った肉切り包丁を、引いて、押して、引いて、押して。どんどん首を切っていく。胴体から切り離していく。刃が骨に接触しても関係なかった。鋸で木を切るように、半ば強引に、力任せに、切断し続ける。瞬くんのためだ。そう、これは、瞬くんのため。俺が食べるためではない。瞬くんに食べさせるためだ。瞬くんの好物は首なのだ。
骨という名の難所を乗り越え、時折、刃に付着している血を次男の服で拭き取って。自分の手に付着した血を舐めて。作業の合間にケーキを味わいながら、残りの繋がりをなくしていく。
今すぐにでも食べられるほど目の前にケーキがいるのに、本能に支配されない俺は、理性的だ。すぐに我を失ってケーキに襲いかかり、無理やり性行為に持ち込むような、食欲のみならず性欲まで丸出しの底辺とは違う。そんな人たちと同類にされたくはない。食欲と性欲を混合するような愚者とは。
あと少しで首の切断が完了する。瞬くんの顔が頭に浮かぶ。正気のない目。感情のない目。死んだような目。死んでしまいそうな目。実際、瞬くんは、俺の目を盗んで死のうとした。ありえない。許さない。そんなことはさせない。絶対に自殺なんてさせない。俺が殺すこともしない。仲良くなりたい人とようやく繋がれたのだから。死なれては困る。勝手に死なれては困るから、手っ取り早く拘束した。身動きが取れないように。それでも、瞬くんは舌を噛んでまで死のうとするから、今は猿轡を噛ませてそれを防いでいた。