問題児は座敷わらし
「先輩。お待たせしました。」

なんとなく。
ただなんとなく。
私はこの子がもう少し生きやすい世界になって欲しいってそう思った。
いや、生きづらくても楽しい世界であるように。
本当に踊り場に来るなんて。
ほんの少しだけ嬉しかったから。

「…行ってみる?屋上。」

「え、でも、閉鎖されてるはずじゃ…」

「閉鎖されてるけど、鍵はかかってないから。内緒ね。ま、バレても私のせいってことで!」

たまには、いや、最初で最後の1回くらいルールを破っても、この子は真っ当な子でいられるはず。

世界はそうやって出来ているから。
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