私の答辞

(仮名)の手紙

本日、卒業式を迎えました。
早く卒業したい、とずっと思っていたはずが、
いざその時が来ると
とても寂しく思います。

周りの方々に沢山の迷惑や心配をかけ、
沢山助けられた3年間に終止符が打たれます。

見慣れた校舎、通い慣れた通学路、話すことが当たり前になった友達、いつの間にか信頼していた先生方とも
別れの挨拶を交わす時が来ました。

さて、突然ではありますが、数ヶ月前の話をさせてください。
学校の帰りに小学生を見つけました。
私の目の前で、小さな子たちが
今か今かと信号が青に変わる瞬間を待っていたのです。
赤から青になった途端、
目の前を全力で駆け抜けていきました。

それを見て、私にも日常の些細な出来事を全力で楽しんでいた頃があったのだろうか
歳を重ねる度に様々なものを見失っていたのではないだろうか、と思いました。

成人を迎えたところで何も変わらないと思っていましたが、本当はとっくに大人になっていたのだと気付かされました。

子どもの頃の「早く大人になりたい」という気持ちもいつの間にか変わっているものですね。

子どもではないのにまだまだ未熟者で
ここまで支えて下さった方々に何も返せていないまま
ここから旅立つことになってしまいました。

明日からはこの場所に通う事はありません。

しかし、また新たな期待と不安を抱えた初々しい子たちが
この場所を埋めていくことでしょう。


貰った恩をこれから出逢うであろ様々な人達に渡せるような人間になると誓い

私の答辞とさせていただきます。

本当にお世話になりました。
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