白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです
「寄せ鍋の匂いが髪についてるから、シャワー浴びるか?」
「浴びて来てもいいんですか?」
「もちろん」
これで、二時間から三十分は短縮できそうだ。
「じゃあ、入って来ます」
着替えを部屋に取りに行き、浴室へと。
さすがに湯船に浸かるのは我が儘かな。
服を脱いで、バレッタで留めていた髪を下ろした、その時。
ガチャっとバスルームの外扉が開いた。
「いい眺め」
「ッ?!」
「二人で入るのは初だし、時短できて一石二鳥だし、風呂場でするっんッ」
おかしなことを言い出す彼の口を慌てて両手で塞いだ。
けれど、彼の視線は緩やかに降下して……私の胸元に。
「もうっ、変態っ!」
彼に背中を向け、慌てて大事な部分を手で隠す。
「夫婦なんだから、何でもアリだろ」
っんなわけないから!
夫婦だってダメなことの一つや二つはあるでしょ!!
背後でがさごそと衣擦れの音がする。
ホントに一緒に入るつもりなの?!
「早く入らないと風邪引くぞ」
「っ…」
右手で浴室のドアを、左手で私の腰を支えながら彼に誘導されるようにお風呂場へと無理やり入らされる。
「あっ、お湯が…」
「夕映が浸かりたいと思って」
「いつの間に?」
僅かに顔を傾け彼の顔を仰ぎ見る。
「実家出る時にスマホで遠隔操作しといた」
「そんな機能もあるの?!」
「妻想いで惚れ直すだろ」
「……」
それはどうだろう。
お湯張りくらいでは骨抜きにはされないが、こういうことの積み重ねはやっぱり心に響く。
いつでも私のことを第一に考えてくれてるのかな?だなんて自惚れてしまいそう。
「感動してないで、座って。洗ってやるから」
「え、いいですよっ、自分でしますから」
「は~い、残念。ペナで拒否権無し」
「なっ…」