白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです
(采人視点)
仕事上がりに夕映が住むマンションへと寄ってみたが、夕映は不在だった。
昨日のメールで『今日は夜勤』だと言っていたから、当然自宅にいると思っていたのに。
室内はもわっと蒸し暑いまま。
ちょっと外出しているとは思えず、無意識に電話していた。
すると、電話に出たのは男の声。
ガヤガヤと賑やかな声が耳に届く。
その賑やかな声も男の声ばかり。
電話に出た男から話を聞くと、酔い潰れて電話に出れないと言うではないか。
俺の知らない所で他の男と一緒にいるのも腹立たしいが、無防備にも男の前で酔い潰れていると聞かされてはじっとしていられない。
采人はすぐさま踵を返して、教わった場所へと向かった。
*
「えっ……『神坂医師』って、本物の神坂先生?」
「ん……?……赤石先生?」
ボストンの大学病院からヘッドハンティングされた赤石は、先月から『神坂総合病院』の脳外科医として勤務している。
神坂総合病院に勤務しているスタッフで采人のことを知らない人物はいない。
バーの一角にあるロングソファに横たわる夕映。
二カ月前の出来事を思い出すような、ワンピース姿をしている。
結婚式の二次会だと把握した采人は、夕映のバッグを肩にかける。
「夕映がお世話になったようで、助かったよ」
「あのっ……、黒瀬とはどういう…?」
「彼女は俺のマンションに住んでる……と言えば通じるかな?」
「ッ?!……あ、はい!」
「このことはまだ公にしてないから、他言無用で頼むよ」
「もちろんです!」
「じゃあ、彼女は連れて帰るな」
「宜しくお願いします」
「あっいい、そのままで」
ヒールを脱ぎ捨て、ソファに横たわる夕映。
すかさず、夕映の足にヒールを履かせようとした赤石を制止した。
采人はヒールを掴み、そのまま夕映を抱き上げた。
腸が煮えくり返りそうな感情を必死に押し殺しながら…。
仕事上がりに夕映が住むマンションへと寄ってみたが、夕映は不在だった。
昨日のメールで『今日は夜勤』だと言っていたから、当然自宅にいると思っていたのに。
室内はもわっと蒸し暑いまま。
ちょっと外出しているとは思えず、無意識に電話していた。
すると、電話に出たのは男の声。
ガヤガヤと賑やかな声が耳に届く。
その賑やかな声も男の声ばかり。
電話に出た男から話を聞くと、酔い潰れて電話に出れないと言うではないか。
俺の知らない所で他の男と一緒にいるのも腹立たしいが、無防備にも男の前で酔い潰れていると聞かされてはじっとしていられない。
采人はすぐさま踵を返して、教わった場所へと向かった。
*
「えっ……『神坂医師』って、本物の神坂先生?」
「ん……?……赤石先生?」
ボストンの大学病院からヘッドハンティングされた赤石は、先月から『神坂総合病院』の脳外科医として勤務している。
神坂総合病院に勤務しているスタッフで采人のことを知らない人物はいない。
バーの一角にあるロングソファに横たわる夕映。
二カ月前の出来事を思い出すような、ワンピース姿をしている。
結婚式の二次会だと把握した采人は、夕映のバッグを肩にかける。
「夕映がお世話になったようで、助かったよ」
「あのっ……、黒瀬とはどういう…?」
「彼女は俺のマンションに住んでる……と言えば通じるかな?」
「ッ?!……あ、はい!」
「このことはまだ公にしてないから、他言無用で頼むよ」
「もちろんです!」
「じゃあ、彼女は連れて帰るな」
「宜しくお願いします」
「あっいい、そのままで」
ヒールを脱ぎ捨て、ソファに横たわる夕映。
すかさず、夕映の足にヒールを履かせようとした赤石を制止した。
采人はヒールを掴み、そのまま夕映を抱き上げた。
腸が煮えくり返りそうな感情を必死に押し殺しながら…。