雨のち晴れ

出会い

「良かったらコレ使ってください。」
振られて泣いていた私にハンカチを貸してくれた。少しの優しさで元彼のことを思い出してしまい、涙が更に増して溢れてしまった。
ハンカチを貸してくれた人にお礼を言う為に顔を見上げたが、涙のせいで顔がボヤけて見えない。声は、低いからきっと男の人だ。
「ありがとうござい、ます。」
ほんの少ししか声が出なかった。泣いていて大きな声量が出せなかったが、その人には伝わったようだ。
泣いてから何分後、泣き止んだ後にもう一度ハンカチを貸してくれた人を見るとやっぱり男の人だった。サラサラの黒髪と白い肌、透き通った目。何もかもが綺麗だ。おまけに月で髪の毛が輝いてるように見える。
「泣き止んだ?」
今思えば、泣いた瞬間から泣き止むまで付き添ってくれていたのだ。それが分かった瞬間、嬉しさと恥ずかしさが込み上げてきた。
恥ずかしさで手を握るとハンカチを持っていた。そういえば貸して貰っていたのだ。
洗って返した方が良いよね?とか 私が持って返ったらいつ返せばいいの?とか 思ってると
「それ君にあげるから。じゃあ、」
そんなことを言って帰ってしまった。
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