私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「もしかして今、雲の中!?」
「そうだな」
「すごい!」
一鈴はスマホのカメラを山頂に向け、シャッターを切って笑う。
「人生初の五合目! 山頂見えず!」
穂希の車も写真に収めた。
「推定5億!」
げらげら笑っていると、穂希が微笑して自分を見ていることに気付いた。
「普通、景色が見えずに残念がると思うけどな」
「普通である必然性を感じませんね」
「俺の友達なら文句だらけだ」
「私、友達じゃないんで」
「君らしくていいな」
「ほめられたんですかね、それ」
「ほめてる」
「へえ」
一鈴はへらっと笑って穂希を写した。
「自分だけずるい。俺も撮る!」
「嫌です」
一鈴は駐車場を走って逃げた。
すぐに追いつかれ、手をつかまれる。
「あーもう! 離してください!」
「逃げるからダメだ」
穂希はそのまま一鈴を抱きしめた。
「霧で冷えた。温めてくれ」
「車のエンジンのほうがあったかいですよ」
「やけどするだろ」
「やけどしてみたほうがいいですよ」
一鈴はつっこみ、もがいた。
「まったく、つれないな」
笑って、穂希は一鈴を離した。
一鈴はすぐに背を向け、ふもとの方に目をやる。
風が吹き、一時的に霧が晴れた。
眼下に広がったのは一面の雲の海。
「すごい、これ、雲海?」
穂希を見ると、彼はうなずいた。
一鈴はスマホで何枚も撮影した。が、そのスケール感はまったく映らない。
「そうだな」
「すごい!」
一鈴はスマホのカメラを山頂に向け、シャッターを切って笑う。
「人生初の五合目! 山頂見えず!」
穂希の車も写真に収めた。
「推定5億!」
げらげら笑っていると、穂希が微笑して自分を見ていることに気付いた。
「普通、景色が見えずに残念がると思うけどな」
「普通である必然性を感じませんね」
「俺の友達なら文句だらけだ」
「私、友達じゃないんで」
「君らしくていいな」
「ほめられたんですかね、それ」
「ほめてる」
「へえ」
一鈴はへらっと笑って穂希を写した。
「自分だけずるい。俺も撮る!」
「嫌です」
一鈴は駐車場を走って逃げた。
すぐに追いつかれ、手をつかまれる。
「あーもう! 離してください!」
「逃げるからダメだ」
穂希はそのまま一鈴を抱きしめた。
「霧で冷えた。温めてくれ」
「車のエンジンのほうがあったかいですよ」
「やけどするだろ」
「やけどしてみたほうがいいですよ」
一鈴はつっこみ、もがいた。
「まったく、つれないな」
笑って、穂希は一鈴を離した。
一鈴はすぐに背を向け、ふもとの方に目をやる。
風が吹き、一時的に霧が晴れた。
眼下に広がったのは一面の雲の海。
「すごい、これ、雲海?」
穂希を見ると、彼はうなずいた。
一鈴はスマホで何枚も撮影した。が、そのスケール感はまったく映らない。