私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「行きましょう、コスモさん」
「だが」
 コスモはためらいを見せた。
「ここでじっとしていてもなにも変わりません。予定は変えずにいきましょう」
 コスモは苦笑した。
「なんでもやってみる、だな」
「そうです」
 一鈴はふん、とふんぞり返った。



 一鈴たちは途中でラッピングの材料を買い、ピアスを包んだ。
 病室に到着してすぐ、莉衣沙に渡す。
「二人で作ったんだ。プレゼント」
「すごいじゃない」
 莉衣沙は包みを開けた。
 その様子を一鈴とコスモは息を呑んで見守る。
 どんな反応がくるか。バカにされる確率が高そうだけど。
 そう思っていたのに。
「かわいい。ありがと」
 意外な反応に、一鈴はコスモと顔を見合わせる。

「なによ」
「てっきり」
「安物って言われるかと」
 二人で言って、くすくすと笑う。
「失礼ね」
 莉衣沙はピアスを付けた。ラベンダー色のガラスが、窓からの陽を反射してきらめいた。
「似合う?」
「かわいい」
「あんたはかわいいからなにをつけても似合うな」
 コスモはまぶしそうに莉衣沙を見た。

「当然。そのための努力だってしてるんだから」
「努力して実る外見がうらやましいよ」
「あなただってちょっと変えればいい感じになるのに」
 コスモは言い返そうとしたあと、あはは、とぎこちなく笑った。
「一鈴さんの真似」
 コスモは恥ずかしそうに言った。
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