私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「できればやりたくないです。弟たちに掃除をさせるのも大変でした。誰が一番きれいにできるかなってあおって、ゲームみたいにしてなんとかやらせてました」
「君と一緒なら掃除も楽しそうだ」
 穂希が笑うから、一鈴はまぶしくて目をそらした。

「お腹すきました」
 直後、お腹が鳴る。
 穂希は苦笑した。
「お弁当があるから一緒に食べよう」
「お弁当!」
 一鈴は目をきらきらさせ、穂希はまた苦笑した。

 厩舎の近くの管理棟には休憩室とシャワールームがあった。
 二人は交代でシャワーを浴びて、用意されていた服に着替えた。
 二階の窓際のテーブルにつき、従僕が持って来たお弁当を広げる。
「幕の内弁当!」
 一鈴は喜びの声を上げた。
 白米は花の形になって真ん中に梅干しがのっていた。小さなハンバーグにエビフライ、唐揚げ。ポテトサラダに仕切りのようなグリーンリーフ、煮豆にひじき、などなど。

 窓を見ると、馬場が見えた。
 四頭がそれぞれ、自由に走ったり歩いたりごろごろしたりしている。
 食べ終わると、従僕が現れて弁当箱を下げ、コーヒーと抹茶ムースを運んで来た。一鈴はそれもぺろりと食べる。
「いい食べっぷりだな」
「掃除がいい運動になりました」
 穂希はふっと笑ってコーヒーを飲んだ。

「コスモさん、あれからまだ?」
 外を見たまま一鈴は言った。
「いつ目を覚ますかわからないそうだ」
「呪いだと、本気で思ってます?」
「今は半々だ」
「まだ半々」
「これでも進歩したほうだ。どのみち、俺が関係しているように思えてならない」
「犯人は穂希さんでしたか!」
 言って、一鈴はうつむく。
「ごめんなさい、笑えない冗談」
「そうやって悪い空気を壊そうとしてるんだろう?」
 穂希が言い、一鈴はさらにうつむいた。
 なんで、そんな理解してくれることを言うんだ。もうすぐ離れるというのに、なんで。
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