私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
一鈴と爽歌が二人でお茶をすると多美子から聞き、恭子は顔をしかめた。
「いつの間にそんな仲に?」
「以前もお茶をご一緒でしたが、仲が良い様子はございませんでした」
恭子は自室から窓の外を眺める。
「穂希にはふさわしい人を選ばなければなりません」
「もちろんでございます」
恭子は宝来家に嫁いできて、たて続けに女児を産んだ。
男児を、という周囲のプレッシャーは重かった。
だから穂希を授かったときの喜びはひとしおだった。
穂希の失敗も笑顔もなにもかもが愛しかった。
長女も次女もまた穂希を愛し、慈しんでくれた。
穂希もまた彼女らによく懐いていた。
結婚のときなど、相手の男に「不幸にしたら許さない」とタンカを切ったものだった。
恭子の黒髪が、窓から入る光を受けて艶やかに輝いた。
お茶会に際し、玉江は気合を入れて一鈴を着飾った。
「大袈裟よ」
「ダメです、ライバルなんですよ!」
青みを帯びたピンクのひらひらワンピースを着せられた。まるで似合ってないと思うが、玉江はこれがいいと言う。結んだ髪には大きなリボン、耳にはぎらぎら光るピアスをつけられた。
「防虫剤くさい……こういうときは」
一鈴は一度脱ぎ、ドライヤーで風をあてた。かなり臭いがとんで、マシになった。
外に出ると、カラスがバサバサと羽音を立てて飛んでいった。
一鈴は顔をしかめた。
カラスはスズメのヒナをくわえていた。巣立ちに失敗したところを襲われたのだろうか。
カラスが雑食なのも小型の動物を襲うのも知っているし、生きるためには食べなくてはならない。わかっている。が、直に見てしまうと気分は良くなかった。
迎えの車が来るのが見えて、一鈴は大きく深呼吸した。
「いつの間にそんな仲に?」
「以前もお茶をご一緒でしたが、仲が良い様子はございませんでした」
恭子は自室から窓の外を眺める。
「穂希にはふさわしい人を選ばなければなりません」
「もちろんでございます」
恭子は宝来家に嫁いできて、たて続けに女児を産んだ。
男児を、という周囲のプレッシャーは重かった。
だから穂希を授かったときの喜びはひとしおだった。
穂希の失敗も笑顔もなにもかもが愛しかった。
長女も次女もまた穂希を愛し、慈しんでくれた。
穂希もまた彼女らによく懐いていた。
結婚のときなど、相手の男に「不幸にしたら許さない」とタンカを切ったものだった。
恭子の黒髪が、窓から入る光を受けて艶やかに輝いた。
お茶会に際し、玉江は気合を入れて一鈴を着飾った。
「大袈裟よ」
「ダメです、ライバルなんですよ!」
青みを帯びたピンクのひらひらワンピースを着せられた。まるで似合ってないと思うが、玉江はこれがいいと言う。結んだ髪には大きなリボン、耳にはぎらぎら光るピアスをつけられた。
「防虫剤くさい……こういうときは」
一鈴は一度脱ぎ、ドライヤーで風をあてた。かなり臭いがとんで、マシになった。
外に出ると、カラスがバサバサと羽音を立てて飛んでいった。
一鈴は顔をしかめた。
カラスはスズメのヒナをくわえていた。巣立ちに失敗したところを襲われたのだろうか。
カラスが雑食なのも小型の動物を襲うのも知っているし、生きるためには食べなくてはならない。わかっている。が、直に見てしまうと気分は良くなかった。
迎えの車が来るのが見えて、一鈴は大きく深呼吸した。