私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~



 夜、一週間ほどの出張から戻った滉一は、報告を聞いて顔をしかめた。
 九守一鈴が来てから、いろいろありすぎた。
 三人の令嬢と穂希の部下が襲われた。佳乃は出て行って無事だ。
 今日は爽歌のケーキに針が混入していたという。
 さらに、時任から渡された郵便物には信じられないものが入っていた。
「リビングに九守一鈴を呼んでくれ。穂希と恭子も」
 滉一の指示に、時任は静かに頭を下げた。


 
 一鈴が本邸に呼び出されたのはその夜、夕食後のことだった。
 リビングには穂希と滉一、恭子がいた。時任と多美子もいる。メイドは下げられていた。
 一鈴を見た穂希はすぐに寄ってきた。
「昼間のことは聞いた。一鈴さん、大丈夫か」
「大丈夫です」
 一鈴はへらっと笑った。

「座れ」
 滉一に命令され、一鈴はソファに掛けた。隣に穂希が座るのを見て、恭子が睨んできた。
「結論から言う。九守一鈴には出て行ってもらう」
「なぜだ!」
 穂希はいきり立った。
「俺の呪いは今に始まったことじゃない!」
「おかしな呪いだ。階段から突き落とし、池に突き落とし、ホームに突き落とす。ワンパターンだ」

「コスモさんは別だ」
「もっとひどい目に遭っている。さらに今日はケーキに針が入っていたと」
「一鈴さんも危ない目にあった。自転車が壊れたり、椅子が壊れたり」
 滉一に穂希が反論する。
「爽歌さんは寝込んでしまわれました。あなた、嫉妬して衣装まで真似たそうじゃない」
 恭子は一鈴をにらむ。
「誤解です」
 ワンピースのことなら偶然なのに。
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