私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「一鈴さん、なにを考えてらっしゃるのかしら」
爽歌の目がきらっと光って、背筋を震わせた。
一鈴は理解していない。素直な反応が返って爽歌を惑わしていることを。
「コスモさんはあなたのせいで襲われて入院しているとか」
「どうして私のせいなんですか?」
爽歌は悲し気に目を伏せた。
「みなさまから聞きました。あなたと仲良くしたせいだと。莉衣沙さんも私も突き落とされて」
「それは論理的におかしいですよね」
一鈴の反論に、爽歌は冷たく見返す。
「コスモさんを襲った犯人、もうすぐつかまるらしいですよ」
嘘だ。だが、なにがしかのプレッシャーにならないだろうか。
気まずい気持ちで窓を眺めると、カラスがすいっと横切って行った。
「私、穂希さんが好きです」
爽歌の言葉に、一鈴は目を戻す。視線がぶつかった。
「あなたは穂希さんをどう思ってらっしゃるの?」
唐突だな!
一鈴は笑いそうになる自分を抑えた。だが、抑えきれずに唇の端が歪んだ。
「私をバカにしてらっしゃるの」
「そういうんじゃないです」
否定するが、そう解釈されても仕方がない、と思い直す。
むしろ挑発にはちょどいい。自分にそう言い聞かせる。
「そういうお話は穂希さんに直接言ったほうがいいと思いますけど」
爽歌は顔をそむけた。
一鈴は切なくその姿を見た。
彼女もまた恋する乙女なのだ。だから今まで、穂希に気持ちを告げる勇気がなかった。そして、愛は歪んで邪魔者を排除する方向へ、彼を害するものを攻撃する方向へ進んでしまった。ちゃんと自分も「被害」を受けることを忘れずに。
そうして彼の「友人」であり続け、彼の心に残ることに成功した。罪悪感を植え付けながら。
それはもはや、愛ではなく呪いのようだ。
「彼と結婚するのなら、愛人の一人や二人、覚悟しておりました。後継ぎをもうけることが必須ですから。それがこんなに早いとは思いませんでした」
一鈴は緊張に耐えられなくて頬を緩めた。
「よほど、穂希様に愛されている自信がおありですのね」
そう見えるのか。一鈴はへらへらと笑う。緊張と恐怖、その反動で笑っているだけだ。佳乃のように毅然とするなんて、到底無理だ。
爽歌の目がきらっと光って、背筋を震わせた。
一鈴は理解していない。素直な反応が返って爽歌を惑わしていることを。
「コスモさんはあなたのせいで襲われて入院しているとか」
「どうして私のせいなんですか?」
爽歌は悲し気に目を伏せた。
「みなさまから聞きました。あなたと仲良くしたせいだと。莉衣沙さんも私も突き落とされて」
「それは論理的におかしいですよね」
一鈴の反論に、爽歌は冷たく見返す。
「コスモさんを襲った犯人、もうすぐつかまるらしいですよ」
嘘だ。だが、なにがしかのプレッシャーにならないだろうか。
気まずい気持ちで窓を眺めると、カラスがすいっと横切って行った。
「私、穂希さんが好きです」
爽歌の言葉に、一鈴は目を戻す。視線がぶつかった。
「あなたは穂希さんをどう思ってらっしゃるの?」
唐突だな!
一鈴は笑いそうになる自分を抑えた。だが、抑えきれずに唇の端が歪んだ。
「私をバカにしてらっしゃるの」
「そういうんじゃないです」
否定するが、そう解釈されても仕方がない、と思い直す。
むしろ挑発にはちょどいい。自分にそう言い聞かせる。
「そういうお話は穂希さんに直接言ったほうがいいと思いますけど」
爽歌は顔をそむけた。
一鈴は切なくその姿を見た。
彼女もまた恋する乙女なのだ。だから今まで、穂希に気持ちを告げる勇気がなかった。そして、愛は歪んで邪魔者を排除する方向へ、彼を害するものを攻撃する方向へ進んでしまった。ちゃんと自分も「被害」を受けることを忘れずに。
そうして彼の「友人」であり続け、彼の心に残ることに成功した。罪悪感を植え付けながら。
それはもはや、愛ではなく呪いのようだ。
「彼と結婚するのなら、愛人の一人や二人、覚悟しておりました。後継ぎをもうけることが必須ですから。それがこんなに早いとは思いませんでした」
一鈴は緊張に耐えられなくて頬を緩めた。
「よほど、穂希様に愛されている自信がおありですのね」
そう見えるのか。一鈴はへらへらと笑う。緊張と恐怖、その反動で笑っているだけだ。佳乃のように毅然とするなんて、到底無理だ。