私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
一鈴はぞっとした。
今まで、よくこの本性を隠してきたものだ。
コスモが、完璧すぎて苦手だと言っていたのを思い出す。
彼女は無意識に察していたのだ、その本性を。
「あなたがやったってばれますよ」
「私は今、船酔いで個室にこもってますの。搭乗口は飛行中は立ち入り禁止、バンケットではパーティーが始まったばかり。誰も見ていませんわ」
ドアの警備も爽歌がどうにかしたのだろう。だが。
「私が呼びだされたのを、莉衣沙さんも佳乃さんも見てます」
「その程度、なんとでもなりますの」
一鈴はじりじりと動いて壁を背にした。だが、そのせいで男と正対することになり、退路を塞がれた。
「私が自らここまでしてさしあげるの、初めてのことよ。名誉にお思いになって」
「莉衣沙さんとコスモさんを襲わせたのはあなたですか?」
「冥土に土産なんて持っていっても仕方ないでしょう? 身軽でいらして」
「ドアは鍵が……普通は飛行中は開かないでしょ」
爽歌はぐいっと身を乗り出す。一鈴の目に爽歌のアップが映った。
「あなた、穂希さんの幸せにはお邪魔でらっしゃるの」
爽歌がパスワードを入力して赤いボタンを押すと、ドアはゆっくりスライドした。
吸い出されるように風が舞った。
爽歌の振袖は大きく風を受けた。長い黒髪が舞い乱れる。
「きゃあああ!」
爽歌はバランスを崩してドア方向へ倒れ、吸い出されそうになる。
「うわあ!」
男もバランスを崩す。なんとかふみとどまり、ナイフを放り出して逃げ出した。
「爽歌さん!」
風に負けないように、一鈴ははいつくばって手を伸ばす。爽歌はずるずると外へ滑っていく。
今まで、よくこの本性を隠してきたものだ。
コスモが、完璧すぎて苦手だと言っていたのを思い出す。
彼女は無意識に察していたのだ、その本性を。
「あなたがやったってばれますよ」
「私は今、船酔いで個室にこもってますの。搭乗口は飛行中は立ち入り禁止、バンケットではパーティーが始まったばかり。誰も見ていませんわ」
ドアの警備も爽歌がどうにかしたのだろう。だが。
「私が呼びだされたのを、莉衣沙さんも佳乃さんも見てます」
「その程度、なんとでもなりますの」
一鈴はじりじりと動いて壁を背にした。だが、そのせいで男と正対することになり、退路を塞がれた。
「私が自らここまでしてさしあげるの、初めてのことよ。名誉にお思いになって」
「莉衣沙さんとコスモさんを襲わせたのはあなたですか?」
「冥土に土産なんて持っていっても仕方ないでしょう? 身軽でいらして」
「ドアは鍵が……普通は飛行中は開かないでしょ」
爽歌はぐいっと身を乗り出す。一鈴の目に爽歌のアップが映った。
「あなた、穂希さんの幸せにはお邪魔でらっしゃるの」
爽歌がパスワードを入力して赤いボタンを押すと、ドアはゆっくりスライドした。
吸い出されるように風が舞った。
爽歌の振袖は大きく風を受けた。長い黒髪が舞い乱れる。
「きゃあああ!」
爽歌はバランスを崩してドア方向へ倒れ、吸い出されそうになる。
「うわあ!」
男もバランスを崩す。なんとかふみとどまり、ナイフを放り出して逃げ出した。
「爽歌さん!」
風に負けないように、一鈴ははいつくばって手を伸ばす。爽歌はずるずると外へ滑っていく。