私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「ずっと友人だと——親友だと思っていた。君がこんなことをするなんて」
「あなたをお守りするためです」
爽歌は立ち上がり、涙を浮かべて穂希をまっすぐに見つめる。
「変な女に騙されて傷つかないように、ずっとお守りしてきました」
認めた。
一鈴の頭から血の気が引いた。
「私の愛をわかっていただけて? 子供の頃からずっとお慕いしております」
「なにを言っているのか、わかっているのか」
「愛を告白しております」
爽歌はうっとりと穂希を見つめ、その頬に手を伸ばす。
穂希は振り払った。
「人を殺そうとしたその口で、愛を語るのか」
「こんなにお疲れになって。すべてあの女のせいね」
「違う、爽歌」
「なにも違っておりませんわ」
「違う、間違ってる!」
穂希は声を荒げた。
「そんなのは愛じゃない!」
「穂希さん?」
不思議そうに、爽歌は彼を見る。
「おかわいそうに。呪いのせいね。今、呪いの根源を断ち切ってみせます」
爽歌は落ちていたナイフを拾い、一鈴に向けた。
一鈴は驚いて立ち上がった。
「どうして!?」
わからなかった。
爽歌の中でなにがどうなったのか。どうして一鈴のせいになったのか。
ただわかるのは、明確な殺意。
「ダメだ!」
穂希がその手を掴む。
「穂希さん、お離しになって!」
二人がもめるのを、一鈴は手を出せずに見ていた。
下手に手を出すと穂希の邪魔になってしまう。