私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「ありがとうございます。まさかこんなことになるなんて思いませんでした。それより」
一鈴は穂希をにらむように見据えた。
「穂希さん、刺されようとしませんでしたか?」
「いや」
「自分が犠牲になれば終わる、なんて思いませんでした?」
「……」
一鈴は大きく息をついた。
「悲しむ人が増えるし、爽歌さんの罪が増えるし、いいことないですよ」
「俺は爽歌をとりおさえるつもりだった」
「嘘」
「嘘じゃない」
「でも、だったらなんで」
なぜあのとき、爽歌を受け入れるように微笑したのか。
「一瞬、刺されようかと思ったのは事実だ。だが、君を置いていけるわけがない。笑ったのは、俺が刺されても君は笑うのかな、と想像したからだ」
「ひどい。さすがに笑いません」
「どうだかな」
穂希は一鈴を見つめ、その頬に手を伸ばす。
愛おしむようなまなざしに、一鈴はどきっとした。
頬を包む彼の手は大きく、温かい。
「ケガはないようだけど、本当に大丈夫か?」
「はい」
一鈴はどきどきして穂希を見る。
やつれた顔に黒髪がかかり、いつもとは違う陰りに、一鈴の胸がちくっと痛んだ。
ん?
一鈴は胸を押さえる。
痛んだのは、胸の中じゃなくて外のような。
「ちょっと後ろ向いてください」
「なぜだ」
「なんかおかしいんです」
「なにが」
「いいから」
穂希はしぶしぶうしろを向く。
一鈴は穂希をにらむように見据えた。
「穂希さん、刺されようとしませんでしたか?」
「いや」
「自分が犠牲になれば終わる、なんて思いませんでした?」
「……」
一鈴は大きく息をついた。
「悲しむ人が増えるし、爽歌さんの罪が増えるし、いいことないですよ」
「俺は爽歌をとりおさえるつもりだった」
「嘘」
「嘘じゃない」
「でも、だったらなんで」
なぜあのとき、爽歌を受け入れるように微笑したのか。
「一瞬、刺されようかと思ったのは事実だ。だが、君を置いていけるわけがない。笑ったのは、俺が刺されても君は笑うのかな、と想像したからだ」
「ひどい。さすがに笑いません」
「どうだかな」
穂希は一鈴を見つめ、その頬に手を伸ばす。
愛おしむようなまなざしに、一鈴はどきっとした。
頬を包む彼の手は大きく、温かい。
「ケガはないようだけど、本当に大丈夫か?」
「はい」
一鈴はどきどきして穂希を見る。
やつれた顔に黒髪がかかり、いつもとは違う陰りに、一鈴の胸がちくっと痛んだ。
ん?
一鈴は胸を押さえる。
痛んだのは、胸の中じゃなくて外のような。
「ちょっと後ろ向いてください」
「なぜだ」
「なんかおかしいんです」
「なにが」
「いいから」
穂希はしぶしぶうしろを向く。