私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
一鈴は背中のファスナーを少し下げた。ゆるんだ胸元に手をつっこみ、ブラの中に入り込んだ違和感の正体を取り出した。
「こんな偶然ってある?」
思わずつぶやく。
「穂希さん、見て!」
穂希はふりむき、服が乱れた一鈴に驚く。
「一鈴さん、気持ちはうれしいがこんなときに」
「違う、これ見て」
一鈴は手を突き出す。
「どうして」
小さな焼き物の狸が割れていた。
「穂希さんがくれた豆狸、ペンダントにしてつけてたんです。それが刃先に当たったんですね」
穂希は驚いて一鈴を見た。
一鈴は穂希を見返す。
「あなたがくれた幸運です」
「君が導いた幸運だ」
二人の声が重なった。
ふ、と笑って彼は一鈴を抱きしめた。
「俺の狸が一鈴さんの胸に」
「言い方!」
穂希は笑って一鈴の服を直した。
「君はやはりお守りみたいだ」
「私はお守りじゃありません」
穂希はまっすぐに一鈴を見る。
「じゃあ、俺の幸運の招き猫だ」
「普通、幸運の女神って言わないですか」
「俺には招き猫のほうが重要だ」
穂希はぎゅっと一鈴を抱きしめた。
一鈴は彼の胸に頭をもたせかけた。とくん、とくん、と鼓動が聞こえる。
ああ、生きている。
じんわりと目が熱くなる。
一鈴もまた、穂希をぎゅっと抱きしめた。
「こんな偶然ってある?」
思わずつぶやく。
「穂希さん、見て!」
穂希はふりむき、服が乱れた一鈴に驚く。
「一鈴さん、気持ちはうれしいがこんなときに」
「違う、これ見て」
一鈴は手を突き出す。
「どうして」
小さな焼き物の狸が割れていた。
「穂希さんがくれた豆狸、ペンダントにしてつけてたんです。それが刃先に当たったんですね」
穂希は驚いて一鈴を見た。
一鈴は穂希を見返す。
「あなたがくれた幸運です」
「君が導いた幸運だ」
二人の声が重なった。
ふ、と笑って彼は一鈴を抱きしめた。
「俺の狸が一鈴さんの胸に」
「言い方!」
穂希は笑って一鈴の服を直した。
「君はやはりお守りみたいだ」
「私はお守りじゃありません」
穂希はまっすぐに一鈴を見る。
「じゃあ、俺の幸運の招き猫だ」
「普通、幸運の女神って言わないですか」
「俺には招き猫のほうが重要だ」
穂希はぎゅっと一鈴を抱きしめた。
一鈴は彼の胸に頭をもたせかけた。とくん、とくん、と鼓動が聞こえる。
ああ、生きている。
じんわりと目が熱くなる。
一鈴もまた、穂希をぎゅっと抱きしめた。