私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~



 食事を終えると、佳乃はすぐに食堂を出て行った。
 一鈴も部屋に戻ろうと立ち上がる。

「結婚に興味ないんでしょ。さっさと帰れば」
「なりゆきには興味あるんでね」
 莉衣沙に言われ、コスモはにやりと笑う。
「厚化粧は選ばれないんだから」
「あんたこそ無駄に派手な服をやめろよ」

 一鈴は目を輝かせ、心の中で実況する。
 始まりました、女同士のプライドをかけたバトル、そばかすを隠したいのか化粧が厚いコスモ選手、先制パンチをくらいました。が、すばやくカウンター!

「私のほうが若いしかわいいのよ」
「若さと見た目しかとりえがないって、虚しくないか」

 激しい応酬が交わされている! どうする莉衣沙選手!

「全部あなたが悪いのよ」
 突然に矛先を向けられ、一鈴はきょとんとした。
「落ち着いてくださいませ」
 爽歌がおろおろと声をかけて手を添える。
「あなたは黙ってて!」
 莉衣沙が振り払うと、爽歌はよろめき、倒れかける。

「危ない!」
 とっさに支えようとした一鈴は、一緒に倒れてしまった。
 多美子が慌てて爽歌を抱き起こす
「ご無事でいらっしゃいますか」
「大丈夫です。一鈴様は」
「大丈夫です。お部屋でお休みください」
 勝手に答え、多美子は爽歌を食堂から連れ出した。

「扱いが違いすぎる」
 一鈴は呆然とした。
「大丈夫か?」
 コスモが手を差し出す。
「ありがとうございます」
 ほっとして、その手をとって立ち上がる。
「わ、私は悪くないわよ!」
 莉衣沙は逃げるように立ち去った。
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