私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「腹の立つ噂を聞いたんです。一鈴様がキッチンで自分で仕込んだって」
水をもらいに行ったのを曲解されたのだろうか。
「ありえない!」
「ですよね」
玉江は戸惑うように視線を彷徨わせる。
ドアがノックされ、一鈴はびくっとした。
玉江が開けに行くと、そこには多美子がいた。
「一鈴様に話があります」
多美子は無表情でそう言った。
玉江は頭を下げて出て行った。
それを見届けてから、多美子は切り出した。
「単刀直入に申し上げます。一部のメイドが一鈴様に嫌がらせをしているようです」
「そうみたいですね」
廊下でぶつかられたのも水をもらえなかったのもドレスの裾をふまれたのも、その一環だろう。あげくにネズミだ。
「今後もお覚悟ください」
「黙って我慢しろと?」
「収める力量をお示しください、と申し上げております」
かちんと来た。
「やられるほうがどうにかしろって、大概ですね」
「もちろん厳重に注意します」
「注意だけって」
「ハラスメントに罰で返すのはパワハラの可能性があります。上司である私は注意と改善を求めます。その上で過度な場合には就業規則に従って処分があります」
注意して聞く人間ならこんなことをしないだろうに。
「一鈴様も毅然となさってください。笑って返すなどありえません」
なんでそこまで言われなくてはならないのか。
一鈴はむっとした。
「あなたの教育不足じゃないんですか」
多美子は驚いたように眉を上げた。
が、すぐに無表情に戻る。
「その通りです。申し訳ございません」
多美子は深々と頭を下げた。
素直に謝るんだ!?
一鈴は返って慌てた。
水をもらいに行ったのを曲解されたのだろうか。
「ありえない!」
「ですよね」
玉江は戸惑うように視線を彷徨わせる。
ドアがノックされ、一鈴はびくっとした。
玉江が開けに行くと、そこには多美子がいた。
「一鈴様に話があります」
多美子は無表情でそう言った。
玉江は頭を下げて出て行った。
それを見届けてから、多美子は切り出した。
「単刀直入に申し上げます。一部のメイドが一鈴様に嫌がらせをしているようです」
「そうみたいですね」
廊下でぶつかられたのも水をもらえなかったのもドレスの裾をふまれたのも、その一環だろう。あげくにネズミだ。
「今後もお覚悟ください」
「黙って我慢しろと?」
「収める力量をお示しください、と申し上げております」
かちんと来た。
「やられるほうがどうにかしろって、大概ですね」
「もちろん厳重に注意します」
「注意だけって」
「ハラスメントに罰で返すのはパワハラの可能性があります。上司である私は注意と改善を求めます。その上で過度な場合には就業規則に従って処分があります」
注意して聞く人間ならこんなことをしないだろうに。
「一鈴様も毅然となさってください。笑って返すなどありえません」
なんでそこまで言われなくてはならないのか。
一鈴はむっとした。
「あなたの教育不足じゃないんですか」
多美子は驚いたように眉を上げた。
が、すぐに無表情に戻る。
「その通りです。申し訳ございません」
多美子は深々と頭を下げた。
素直に謝るんだ!?
一鈴は返って慌てた。