私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「絶妙によけられた。私、すごい強運!」
 目をきらきらさせて言うと、穂希は絶句した。
「考え方が対局すぎる」
 穂希はじっと一鈴を見たあと、ふっと笑った。
「なんですか、その間は」
「気にするな」
「まあいいですけど」

 鳥居に向かって歩く。
 鳥居の前で人々が写真を撮るために立ち止まる。一鈴たちは並んで待った。
「お撮りしましょうか?」
 一鈴が直前のカップルに声をかけると、二人はうれしそうにお礼を言った。
 撮り終わったら「お撮りしますよ」と言われた。

「いえ、私は」
「お願いします」
 穂希が言い、スマホを男に渡して鳥居の前で一鈴を待つ。
 仕方ない、と隣に行くとなぜか肩を抱かれた。
「ちょっと」
「文句はあとで」
 仕方なくカメラを向いて笑う。
 男がシャッターを切る。
 穂希は礼を言ってスマホを受け取り、カップルは歩き出した。

「これはお守りとして待ち受けにする」
「私はお守りじゃありません」
「では守護の女神か」
「どこの世界線で生きてるんですか」
 穂希は笑い、一鈴の手をとって歩き出した。

「手!」
「手がなに」
 余裕の顔で返されて、一鈴は言葉を失った。
 女性を避けていたというから、わかってないんだろうな。
「私以外にこういうことしちゃダメですよ」
 穂希は驚いて一鈴の顔を見た。
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