私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
鈍感め。
一鈴はため息をついた。
「ぜひご一緒なさって」
爽歌に言われ、なんていい人なんだろう、と一鈴は感心した。
「じゃあ一緒に」
三人で歩き出したそのとき。
「あっ——」
爽歌がか細い声をあげて倒れかけた。
とっさに穂希が抱き留める。
「大丈夫か」
「鼻緒が」
爽歌が足元を見る。穂希と一鈴も見た。鼻緒が千切れてしまっている。
「不吉な」
穂希の顔が青くなった。
「ぞうりが身代わりになったんですよ。もう悪いことは起きません」
一鈴はへらっと笑った。
「そもそも鼻緒は負荷がかかるとこです。時代劇だとイケメンが直してくれるんですが」
と穂希を見る。
「できるわけないだろ」
「残念イケメン」
「彼女を運ぶから、ぞうりを持って来て」
穂希は爽歌を横抱きに抱いた。
「きゃっ。穂希さん、こわいわ」
「大丈夫。絶対に落とさない」
一鈴は後ろからぞうりを持ってついて行く。
急に穂希がかっこよく見えた。
後ろ姿すらかっこいいって反則だ。
きりっとした穂希に黒髪の美女。周りの人たちが一斉に注目する。外国人観光客は「OH!」と声を上げた。
自分はただのおつき。完全にモブ。
わかっていたはずなのに、自覚するとそれはそれで切ない。
穂希が彼女をベンチに降ろし、ハンカチを敷いて足を下ろさせる。
「申し訳ありません」
「俺のせいで大事なぞうりが。すまない」
一鈴はため息をついた。
「ぜひご一緒なさって」
爽歌に言われ、なんていい人なんだろう、と一鈴は感心した。
「じゃあ一緒に」
三人で歩き出したそのとき。
「あっ——」
爽歌がか細い声をあげて倒れかけた。
とっさに穂希が抱き留める。
「大丈夫か」
「鼻緒が」
爽歌が足元を見る。穂希と一鈴も見た。鼻緒が千切れてしまっている。
「不吉な」
穂希の顔が青くなった。
「ぞうりが身代わりになったんですよ。もう悪いことは起きません」
一鈴はへらっと笑った。
「そもそも鼻緒は負荷がかかるとこです。時代劇だとイケメンが直してくれるんですが」
と穂希を見る。
「できるわけないだろ」
「残念イケメン」
「彼女を運ぶから、ぞうりを持って来て」
穂希は爽歌を横抱きに抱いた。
「きゃっ。穂希さん、こわいわ」
「大丈夫。絶対に落とさない」
一鈴は後ろからぞうりを持ってついて行く。
急に穂希がかっこよく見えた。
後ろ姿すらかっこいいって反則だ。
きりっとした穂希に黒髪の美女。周りの人たちが一斉に注目する。外国人観光客は「OH!」と声を上げた。
自分はただのおつき。完全にモブ。
わかっていたはずなのに、自覚するとそれはそれで切ない。
穂希が彼女をベンチに降ろし、ハンカチを敷いて足を下ろさせる。
「申し訳ありません」
「俺のせいで大事なぞうりが。すまない」