私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
莉衣沙はぷんぷんと怒っていた。歩き方が乱れそうになるが、気を付けておしとやかに歩く。
莉衣沙は深呼吸して自分を落ち着かせた。
かわいい私が、あんなど庶民に負けるはずないわ。
性格の悪いほかの令嬢と違って、自分に素直で誰からも愛されて来たんですもの。穂希さんも、もうすぐ私の魅力に気付くわ。
自室に戻ろうと階段を上った。
玄関ホールから続く階段は、踊り場から左右に分かれて伸びている。
踊り場の壁にはモネの絵画が飾られていた。
モネって好きじゃないのよね。ぼやっとしてて。
そんなことを思って眺め、それからまた歩き出そうとしたとき。
どん、と突き飛ばされた。
「きゃあああああ!」
莉衣沙はごろごろと階段の一番下まで落ち、倒れて動かなくなった。