私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「ああ、むかつく! なんだあの男!」
部屋に入るなり、コスモは怒鳴った。
「同じものをほかの女にプレゼントするとか!」
「穂希さんは厄除けグッズにしか思ってませんから」
「甘やかすのはよくないぞ」
コスモはどすんとソファに座った。一鈴はなんとなくその隣に座る。
「怒ってくれてありがとうございます」
婚約は偽装なのだから、コスモに申し訳なくなった。
一鈴を見たコスモは、しばらくしてニヤリと笑った。
「一緒に写真とろう」
「いいですけど」
急になにを言い出すんだろう。
コスモはスマホを取り出し、一鈴と頬を寄せて自撮りした。
「これをあいつに送る」
わけがわからず、一鈴はきょとんとした。
***
スマホの着信を見て、穂希は顔をしかめた。
令嬢たちとは連絡先を交換させられていた。だからそれがコスモからだとすぐわかったのだが。
一鈴とコスモの写真が送られていた。一鈴の無邪気な笑顔の横で、コスモは憎らしいくらいのドヤ顔だった。それが何枚も送られて来た。ベッドに二人で寝そべって肩を抱いたりしているものもあった。
安い挑発だ。それはわかっているが。
穂希は画面の中で笑うコスモをにらみつけた。