私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
翌日、一鈴は体調が悪いと言い張って淑女教育をさぼった。
コスモに連絡し、莉衣沙のことを確認した。その後、一緒に入院先に向かう。
「おもしろいこと考えるね」
一鈴の提案に、コスモはそう返した。
「うまくいく可能性は低いですけど」
莉衣沙の護衛が立ち塞がったが、コスモが令嬢だと知っているようであまり強く制することはなかった。
「本人が嫌がったらすぐ帰るからさ」
コスモの説得に、しぶしぶ二人を通した。
「なにしにきたの!」
二人を見るなり、莉衣沙は叫んだ。
護衛が入って来た。
「今、あなたを突き落とした人を探してるの!」
一鈴は慌てて言った。
「嘘ばっかり!」
「嘘じゃない。あの男が探している」
コスモが加勢してくれた。
「穂希さんが」
「よかったな。惚れた男がお前のために動いてくれて」
「……好きじゃない」
莉衣沙はうつむいた。
護衛はそのまま様子を窺っている。
「あんな人、好きじゃない。八歳も上だし。もっと優しくて一緒に笑える人がいい」
うーん、と一鈴は穂希を思い出す。けっこう笑っているし、優しい気もする。
だが、初めて見たとき、莉衣沙を冷たく突き放していた。あの頃はクールなイケメンに見えていた。
「婚約せずに済んでよかったじゃないか」
「選ばれなければ私に価値なんてないじゃない」
「好みの男を探せよ」
「都合よく現れないわよ!」
「だから探すんじゃないか」
あきれたようにコスモが言う。
「待って、今日は別の話をしにきたんです」
莉衣沙はけげんに二人を見た。