家出少女の反抗
「そういやお前、夜の街に出歩いてるって聞いたけど……事実なのか?」
突かれたくない事情に足を踏み込んできたのだ。
私は無視して歩みを進めていたが、自然と止まった。
「もし……そうだったとして、怜音先生に………関係ありますか?」
家を出てしまったことは、良くないことだと自分でもわかってはいる。
だけど潤のことが一番だった母親と折り合いをつけて住んでみるなんて苦行は耐えられない。
あんな不快で穢らわしい性行為なんて、利己的な男に捧げていた自分が馬鹿に見える。
お母さんが悲しまないように、忍んできたというのにーーそれを見事にへし折ってくれた屈辱は一生残る。
ーーこんな悔しい思いを、この怜音先生はきっとわかってないんだ。
そう思った瞬間、私は怜音先生を睨んでた。
「これ以上は、話したくないです。一人にさせてください」
今まで感じたことのない、静かな怒りに任せて出た言葉には、きっとトゲのような感情が読み取れたかもしれない。
でもーー耐えられなかった。
そうでもしなければ、自分を責めてしまって壊れるだろうと感じていたからこそ他人を攻撃してしまう。
私は本当に、悪女だ。
きっと自分勝手な悪魔に、化けているんじゃないかって思うくらい。