家出少女の反抗
でも、怜音先生はそんな私を見捨てないで私の手を掴んだ。
急ぎ足で歩こうとしていた、私の右手を思いっきり強く繋いで。
「確かに、余計なお世話かもしれないな……。だけどな、先生って生徒の事を心配するってのが仕事なんだよ。大切な子供達なんだから」
「……でも、所詮社交辞令ってやつでしょ?本当は自分の評価を上げたいがために、お節介とか焼くっていうやつ?そういうの……迷惑」
私は先生の手を振り払った。
何というかこの時は、この世の全てに対して一杯一杯で自分に余裕なんかなかったんだと思う。
第一この学校はヤンキー高校で、先生もあまりいい人がいないってのは承知の上だったから。
だからこそ、悪い大人に漬け込まれないように必死こいてでも対抗したかった。
大人を信用できない、自分自身を認めたくなかったんだと思う。
そのかいあってか、私の目から大粒ともいえる涙が溢れ出てきてしまうのは自分の幼さ故からだろう。
なんで泣いてるんだって、叫び出したい。
何処にも、泣いたって、真から心休まる場所はいつだって自分自身の手で壊してきたっていうのに。