家出少女の反抗
涙が枯れるまで圧倒されるような情報量の多い学校生活は一瞬に過ぎ放課後。
結局、その後は怜音先生と会うことはなかった。
だけどもーーそこが彼の優しさで、会わないようにしているだけなのかもしれない。
あんなに優しく男性に何かを、諭される日が来るとは思ってもみなかった。
怜音先生がくれた、携帯小説番号の紙に目を通す。
「夢じゃない………」
その瞬間、緊張が取れたかのように笑みがこぼれた。
靴箱に手を伸ばして、靴を履く。
何だか軽やかな足取りで、駅前にたどり着いた頃だった。
「ちょっと待ちなさい!!君!!」
後ろからとてつもない大きな、男性の声が。
振り返ると、遠くから警察官が全速力で走ってくる。
だがその目線は、私に注がれているものではなった。
「愛?……愛なの?!」
物凄い早い足取りで、逃げ去ってゆく愛の姿を見た。
フリフリの地雷コーデとは思えぬ、俊足ならぬ足取りで駆け抜けていたのだ。
私は嫌な予感がした同時に、何故かは分からないけれど愛を守らなきゃと感じた。
「ちょっとごめんなさい!!清掃のおばさん!!バケツ借りますっ!!」
あまりの拍子抜けに、「へ?!」と間抜けな声を出したおばさんを他所に、私は警察官の足元にバケツの水をばらまく。
素早く広がった、水面を浮かばせる薄汚れた水道水。
圧倒される様に警官が滑って転ぶ。