家出少女の反抗
「愛、待って!!どこ行くのっ!!」
素早かった愛の足取りも、段々と遅くなって大きな薄暗い橋の下。
やっと、追いついた。
「ごめんっ……霞!!私……警官に捕まりそうになってたのを、助けてくれて……っゴボっ!!」
「ちょっと愛、落ち着いて……何があったの?」
背中を擦って、愛から事情を聞き出した。
すると愛は、涙ながらに話してくれた。
「私のお父さんが、被害届を出して……警察官が探してるの……。でも、戻りたくないの……。だってお父さん……私が一人っ子だったのをいい事に、何でもしてくるから……嫌なのっ!!」
みるみるうちに、愛は精力を奪われた様に小さくうずくまる。
「……お母さんは?」
「いない……暴力を振るうお父さんに呆れて……出ていったから」
「親戚のもとへゆかないのか?」とも言いかけたけれど、もし譲り受けてくれる人間がいたらとっくにそっちに向かってるはずだと感じて、それは言わなかった。
ーーーきっと、親族も父親の性格からして遠ざけられてるのかも
そう考えたらーーー愛にこれ以上何かを言わせるのは酷だと考えてしまったからぐっとこらえた。