家出少女の反抗

愛が襲われた時にも、怖くて動けなかった私。



反抗しているように見えて、潤には従うしかない権力の挫折。



お母さんに素直に打ち明けたのに、受け入れてくれなかった拒絶されたような心の痛み。




こんな問題だらけで、一人の私が何が解決できたかと言われると全然できなかった。




無力。




その言葉が適切な表現だろう。





ーー人間は一人では何もできないか……悲しいな……。



毛布を被りながら、朦朧とそう考えていた。





だけど、ふと思うんだ。




1時間経って、去り際に怜音先生が引き止めてくれたときだ。




「お前……絶対に一人でかかえこむなよ?頼っていいからな?」




屈託のない爽やかな笑顔で、言われた怜音先生の顔を今でも忘れなれない。




そして帰ってきた時に、机に置かれたチョコレート。




下に手紙が入ってて「友チョコって事で!!後で先生との話を聞かせてよね!!」と可愛らしい文字で置き手紙をくれた愛。





ーーそうか……私はもう、一人じゃないんだ。




何だかそう思うと、心が落ち着き深い眠りに落ちてゆく。




それはあの事件を引き起こす予兆でもあったのかもしれないがーー。

< 64 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop