家出少女の反抗
「もしもし?なんの用?」
私はもう、自分から逃げたくなかったからーー愛から逃げないことや、味方がいることを学んだからーーつらい現実から逃げない。
そう、心に決めたのだ。
「霞?あの男………誰?」
電話に出た瞬間、この返答が返ってくるなんて知りもしなかった。
「潤に関係ある?」
「大アリだよ?君は僕のフィアンセ出会ってーーー援助交際をする穴ではないんだよ?」
勝手に話しかけてきた分際で、良くもそんな口が聞けるなと、半分呆れたが彼の事だ。
仕方が無いから、切ってやりたい気持ちを押し殺す。
「どうして、援助交際してるって決めつけるの?」
「隣に行け好かないヒステリックな少女を連れて、街を彷徨ってたでしょ?」
いつの間に、私たちを見かけたのだろう。
「何処で見かけたの?」
「駅前で追いかけっこしているところは、見た」
あの事件か………。
でもあの時に声をかけないというのは、警察が絡んでいたからだろう。
この人にも、悪いことをしているという気持ちはあるんだ………。
だからといって、一生許すわけもない。
「引け目に感じてるの?私達の関係を?」
潤は押し黙った。
電話の奥で、ガラスが割れる音がした。
相当堪えているのだろう。
「黙れ………黙れぇ!!小娘の分際で、僕に逆らえると思うな!!!」
「もう私決めたの………暫くは貴方の所にいかないし、お母さんの場所にも出向かないって。ちっとも反省してないんだね。潤は」
「証拠もないのに、どうやって僕を懲らしめるっていうのかい?警察を味方につけてるのは僕の方だぞ!!」
呆れるな………こっちには早風さんがいるのに。