家出少女の反抗


「もしもし?なんの用?」





私はもう、自分から逃げたくなかったからーー愛から逃げないことや、味方がいることを学んだからーーつらい現実から逃げない。




そう、心に決めたのだ。



「霞?あの男………誰?」





電話に出た瞬間、この返答が返ってくるなんて知りもしなかった。




「潤に関係ある?」





「大アリだよ?君は僕のフィアンセ出会ってーーー援助交際をする穴ではないんだよ?」




勝手に話しかけてきた分際で、良くもそんな口が聞けるなと、半分呆れたが彼の事だ。




仕方が無いから、切ってやりたい気持ちを押し殺す。





「どうして、援助交際してるって決めつけるの?」





「隣に行け好かないヒステリックな少女を連れて、街を彷徨ってたでしょ?」





いつの間に、私たちを見かけたのだろう。





「何処で見かけたの?」





「駅前で追いかけっこしているところは、見た」




あの事件か………。




でもあの時に声をかけないというのは、警察が絡んでいたからだろう。




この人にも、悪いことをしているという気持ちはあるんだ………。




だからといって、一生許すわけもない。





「引け目に感じてるの?私達の関係を?」





潤は押し黙った。




電話の奥で、ガラスが割れる音がした。




相当堪えているのだろう。





「黙れ………黙れぇ!!小娘の分際で、僕に逆らえると思うな!!!」





「もう私決めたの………暫くは貴方の所にいかないし、お母さんの場所にも出向かないって。ちっとも反省してないんだね。潤は」




「証拠もないのに、どうやって僕を懲らしめるっていうのかい?警察を味方につけてるのは僕の方だぞ!!」




呆れるな………こっちには早風さんがいるのに。








< 76 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop