家出少女の反抗
最大の危機
あれから3日経った頃。
気付けば教室の隅で皆が私を見つめていた。
その理由は、私が居眠りをしている所を数学教師湯川がバインダーの角で頭をたたいたからだ。
「お前だけだぞ……寝ていたの」
「す……すみません」
ぎごちない笑みを浮かべるも、鋭い眼で睨まれた。
周りのクラスメイトから、クスクスと笑われる。
朝早くから、こんな悲痛な目に遭うとは。
私はため息をついて、グラウンドを覗く。
生徒たちと紛れて、サッカーを楽しそうにプレイしている怜音先生の姿が見えた。
ーー朝からあんなに飛ばすなんて……どうかしてる。
あんなに走り回ってしまっては、午後の体力が持つのか我ながら心配だった。
どうして避けてるんだろうとは、あの夜何度も考えた。
だけども答えは浮かばず、頭巡らせるだけ時間の無駄だった。
怜音先生って、案外何を考えているのかわからない。
チャイムが鳴った。
これから5分間、休み時間に突入。
私は数学のノートをしまい、机に伏せる。
仮の友達も今日は休みだし、話す輩もいないからやることがない。
だけども、この時間があの悪夢になるなんて思ってもみなかった。
スマホが鳴る。
私宛から、電話がかかってきた。
すかさずスマホを取るとーーーお母さんから電話がかかってきたのだ。