家出少女の反抗
取ろうかどうか、一瞬血迷った。
だって一回も連絡してこなかったくせに、何を今更という気持ちもあったからだ。
それに、どうせ本心では潤のことしか見ていないという絶望を味わったから。
急いで、スマホの電源を切りみなかった事に。
それが命取りになって、因果となって帰ってきたのかもしれない。
キャーッという、叫び声が聞こえた矢先、クラスメイトたちがどんどんと聞こえた声の方へ走り出してゆく。
何事だろうと、駆けつけると校門の直ぐ側でそれは起こった。
「……あれって、愛!?」
まず先に目に止まったのは、ぐったりとして首を項垂れて首元を羽交い絞めにされている愛の姿が見えた。
ゆっくりと視点を、後ろの方へ向ける。
そこに立っていたのは、潤が鬼の形相で反対側の手で愛の首元にナイフを突きつけていた姿がそこにあったのだ。
ナイフが太陽の光を反射して、鋭い牙を抜いた猛獣のように見えた。
あまりの恐怖に後ずさる。
「霞……霞を連れてこい!!」
狼狽えていた、数学教師が私を見た。
刃物を持っているから、周りの先生達も上手く動けないのだ。
誰かに背中を強く押された。
ーーー行くしか……ないよね?
私は一、ニ歩前へ進み出た。
本当は、あんな奴と一緒に生活をするくらいなら逃げ出してやりたい。