家出少女の反抗
遠ざけた理由
結局はあの日から、私は学校で異物を見る様な視線を浴びせられる。
酷いときには、罵声を浴びせられ……笑われたりもした。
これ以上ないくらいの、地獄を味わう事になってしまったのも言うまでも無い。
だけど、学校に行くのはやめなかった。
その理由は、怜音先生が無事に学校に来てくれる姿を見届けたかった事もある。
だけれども、病院で意識不明状態の中怜音先生は眠り続けているらしい。
あんだけ、滝のように血を流していたら助からない命。
未だに心臓が動いて全身に、血をめぐらせるだけの体力があるだけ奇跡なのだが、素直に喜べなかった。
病院の一室、ベンチに座って涙を流して嗚咽を吐き出した。
あれからまた、1週間経ってもう冬休み近くなってきた。
このまま眠り続ける、怜音先生の端正な顔をみるだけになってしまうかもしれない。
永遠に目を閉じた、怜音先生の姿を捉えるのは精神的にも苦痛だ。
ーー早く起きてよ……怜音先生。
そっとシーツに手を伸ばす。
「帰り道途中で、寄り道して遊んでないで、早く帰れ」って一言でもいいから声をかけてよ………。
こんな結末、絶対に許さないんだから………。
涙を堪え、シーツを握る。
ジワリと、涙が滲む。
「霞………なの?」
柔らかな、やせ細ったような声をかけられた。
振り向くとそこには………お母さんがいた。