ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
 防護服を着た人々は何やら呟きながら救急車の方に慌てて向かう。

「オレの……果林に、手を出すなよ……!」

 勇人の威嚇が辺り中に響き渡る。私もこの機会に乗じて文句をつけてやる事にした。

「いきなり連行だなんて汚いやり方ですね!」
「ぐっ……」

 最終的には彼らは救急車に乗って家から出ていった。

「はあ……」

 朝からこんな事に巻き込まれるとは。疲れるしため息が出る。
 そんな私とは真逆に勇人はまだ無表情のまま警戒態勢に入っているように見えた。

「果林……」
「多賀野くん?」
「ここにいるのは、危ない……」
「……」

 確かに勇人の意見は正しい。また防護服を着た人々がこの家に来るとも限らない。勇人が暴れた以上、次来る時はもっと容赦無いかもしれない。

「家から……出よう」
「……多賀野くん」

 私は勇人の顔を見て、この家を出る覚悟を決めたのだった。

「そうだね……多賀野くんの言う通りだと思う」

 
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