ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
「……男子生徒?」

 男性ではなく、男子生徒。どこかの学校の生徒なのか。
 その時、以前学校の地下で遭遇し、勇人が撃退した不良のゾンビの姿がよぎる。

「もしかして……あの2人じゃあ」

 すると画面の白いヘルメットを付けた若い女性アナウンサーが中継があるという事を口にする。

「タイプヴァンパイアが捕獲された現地から中継です」

 ぱっと切り替わった画面の先にあったのは、やはり私と勇人の通う高校だった。しかも正門の前だ。

「えーー、安全を確保してお伝えします」

 白い防護服を身に纏った長身の男性アナウンサーが画面の左側にいる。細長いマイクが時折防護服の顔の透明な部分にコンコンと当たっているのも見えた。

「タイプヴァンパイアはこの高校の生徒という事が判明しました。また、一緒にいた生徒も桜風医療研究所へと移送されたという事です。また、高校の生徒曰く他にもタイプヴァンパイアであると見られる高校の生徒がいる。という証言があり、現在医療研究所の方で調査中との事でした。また情報が入り次第お伝えいたします」

 ここで画面は高校からスタジオへと戻る。

「……あれ、うちの高校じゃん」

 そんな私の空虚な呟きがエコーがかって部屋中に響いた気がした。
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