ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
　柔軟剤やネットも欲しいが、それはおいおい手に入れる事としよう。だがなるべく外には出たくないのもあるが。

（いつかは買い出しに外へ出なきゃだからなあ……）

　部屋に戻ると勇人がベッドに座っていた。彼に戻った事を告げると彼は無言で浴室へと向かっていった。私はベッドに座ると再びテレビに目を向ける。
　テレビには観客の目の前でトレーナーから指示を受けながら今日にチューリップの絵を描くオタリアの姿。首元のモフモフした毛はライオンを連想させる。
　しばらくして勇人が戻って来た。髪の毛先が濡れ水滴が落ちている。

「ドライヤーで乾かそうか？」
「いや、いい」
「そっか……わかった」
（無理強いは良くないしやめておこう。あれくらいならすぐに乾くだろうし）

　するといきなり部屋の外から悲鳴のような叫び声が聞こえてきた。ゾンビだろうか。

「果林……動くな」
「わかった……」

　ここで無理に外に出るのはハイリスクすぎる。申し訳無さはあるが、ここで騒ぎが止むまで待機する他ない。

「ぎゃあああ！」
「誰かあ、助けて！」
（ゾンビか……？）

　しばらくしてパトカーのサイレン音が聞こえてきた。やはりゾンビが人を襲っているのか。
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