ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

　私はベッドの上でじっと体育座りをする。私の左横には勇人が座っている。彼の左手にはちょっと短めの鉄パイプが握られている。部屋の外から取ってきたのだろうか。

「その鉄パイプ、どこから取ってきたの？」
「洗面台の下の棚から」
（隠してたんだ）

　ここは暴走族・鬼龍会の拠点。武器が隠されていたとしても不思議ではない。
　パトカーのサイレン音が止まり、その後発砲音が数発聞こえた後騒ぎも10分程で止み静かになった。おそらくゾンビは銃で仕留められたのだろう。

「終わった……かな……？」
「たぶん……」
「なら、いいけど……」
（晩ごはん食べようかな）

　机に置かれた電気ケトルを取り、洗面台の蛇口をひねって電気ケトルの中を洗ってから水を入れ、湯を沸かす。
　沸いたらうどんのカップ麺の中にお湯を入れて、5分経ったら完成だ。

「頂きます」

　リュックの中に割り箸があるのでそれを取り出してパキッと割る。今日は上手く割れた。
　一口割り箸で掴んですすると、熱さが口の中を支配する。

「あっつ！」
（冷まそう！　すぐには食べられない！）

　あまりにも熱すぎたので、口の中がまだ熱い。